うつ病の原因特定

クリニックHSP外来へいらっしゃる方で、「うつ病」と診断される方も多い状況です。
うつ病という言葉の捉え方が定まらないまま、言葉のイメージだけが先歩きして、社会の中では、まだまだ“腫れ物にさわる”ような態度をする人が多いです。
うつ病の捉え方について、ここでは言及していきます。
神経の仕組みからみるうつ病
“病気”という言葉の辞書的な意味は、カラダの全部または一部が、生理状態の悪い変化をおこすことです。
診断名や病名は、医療業界の世界的マニュアルに載っているものになります。
「うつ病」は、診断基準を満たす時に、医師から診断される言葉です。
このように医療の視点だけでうつ病を捉えているから、イメージだけが先走ってしまいます。
神経の仕組みから考えると「至って自然な反応である」と分かります。
具体的に言えば、自律神経の動きによって“命を守っている”ということなのです。
自律神経の仕組みについては「神経の高止まりとHSP」の記事で書いていますので、そちらをご覧ください。
神経の高止まりとHSP
https://lifecoredesign.com/cca/high-level-of-nerves/
自分の命を守る“凍りつきモード”
うつ病を捉えるひとつの視点として、神経が“凍りつきモード”になっていると言うことができます。
通常、活動中は交感神経が優位になり“闘争/逃走モード”になります。
でも、あらゆる刺激や情報にまみれて耐えられなくなると、神経が切り替わって“凍りつきモード”になります。
余分な刺激を受け取らないようにシャットダウンさせることで、自分の命を守っているのです。
凍りつきの神経が動いていることがわかる症状のひとつが「うつ症状」です。
人によっては、パニック発作や、罪悪感、恥の感覚が強い、自己否定が強い、喪失感やヤル気のなさとして出てきます。
病として捉えると、どこか受け止めきれないと思いますが、自分にとっては「これ以上、刺激を受けたら命が脅かされるから守っているのだ」と捉えると、受け止めやすくなります。
私が勤めるクリニックやcocoanでは、うつ病は「これまでのやり方・考え方・生き方を変えなさい」というメッセージとして捉えています。
今の生き方には無理が生じているということです。
自己変容の「ひとつのきっかけ」として考えられると、回復に向かっていきやすくなります。
うつ病の入り口
なぜ、うつ病になったのか? という問いは「どんな条件が揃った時に、限界を迎えたのか」を知ることで解決に向かっていきます。
うつ病になったのは、あくまで結果であって、そうなるまでの過程があるはずです。
cocoanやクリニックで多いのが「自分ではがんばっているつもりはない。周りと比べて私は全然できていない。でもしんどい…」という相談です。
無意識に自分と他者を比較している、誰かになろうとしている、ということです。
頭で思い描く理想と、現実のギャップが大きいほど、症状として出てきます。
カラダからしたら「もうこれ以上、やったらムリだよ!」と言っているけれど、頭では「もっとできる」と拮抗している状態です。
頭の声だけで進んでいたら命が尽きてしまうので、神経が強制的にシャットダウンさせます。
それが「うつ病」の大きな入り口です。
限界を迎えるまでのサイクル
カラダの本当の声と頭で考えていることのギャップの大きさを知ることが大切です。
そして、自他比較にエネルギーを使っていることに気づくことも重要です。
神経は「命が脅かされるくらいに刺激を受けている」と判断しているのです。
刺激を受けすぎないような工夫が必須になります。
限界を迎えるまでの道筋を大枠示すと、
というパターンを繰り返しています。
その流れの中で、刺激過多になってシャットダウンしていきます。
この流れは人によって大きく変わっていきますので、cocoanやクリニックでは、仕組みを理解することに時間をかけています。
仕組みが明確になれば、どの部分で刺激過多になるのかが分かるので、取り組むべき点が自然と定まっていきます。
うつ病として出てきた症状をみるのではなく、うつ病になった「原因」をみていくことが大切です。
原因を知ることは、積み重ねてきた生き方やあり方といった根本に関わることです。
時間と労力がかかりますが、最終的に「誰もが通る道」になると感じています。
