非HSPの部下をもつHSPさんへ

このページをご覧いただいている方は、ご自身がHSPの管理職であると考えています。
そのような方へ向けている記事ですが、もしあなたがHSPでなくても、部下との良好な関係を築くためのエッセンスが詰まっていますので、ぜひ、最後までご覧ください。
cocoanやクリニックにいらっしゃる方々との対話で感じ取ってきた「HSPである管理職の方がとくに悩みの種になっている要素」「心身不調につながっている要素」についてご紹介します。
解像度のちがいを知る
- 資料に目を通すと、誤字脱字に気が付く
- 配置のちょっとしたズレを修正する
- デザインやフォントの違和感が気になる
- お客様に届けるものだから妥協はしたくない
そう思って細かいところまで思いをもって取り組むあなた。
その視点は、2,000万画素のカメラで撮影した写真のように「解像度が高い」ということができます。
ただし、部下がおなじ解像度をもっているかは、見極める必要があります。
例えば、自分ではあたり前のように気づく誤字脱字を毎回のように気づいていない部下がいるとします。
あなたは当然のことのように「ふつう気づくでしょ?」とイライラするかもしれません。
実際は、純粋に気づいていないことが大半なのです。
未来予測能力のちがいを知る
意図的に誤字脱字をスルーすることだってあります。
なぜなら、誤字脱字することがこの先どんな影響を及ぼすかまで考えていないからです。
経験をして実感できなれば、誤字脱字を避けたいという意識にはつながっていきません。
あなたがあたり前のように気づいていることを自分で言葉にしてみましょう。
意外と言葉にできないはずです。
言葉にできないことができているとしたら、それはあなたにとっての「あたり前」です。
部下にとっては「あたり前」ではないので、初めて解像度のちがいに気づけるきっかけになります。
「そもそも気づいていないし、この先の影響もわからないわけだから、誤字脱字することでこの先どうなるのかを共有した方がいいね」と、部下と共有すべき点をまとめられると円滑なコミュニケーションにつながっています。
また、部下ができている点、意識している点についても寄り添って褒めると、より関わりやすくなります。
あなたが「されたら嬉しいことを部下にする」ということです。
部下の粗さにイラつくときこそ自己認識の入り口に
また、以下のように、部下の言動や仕事っぷりが粗いと感じることはありませんか?
- 求められていることには忠実に応えているが、投げやりなまとめ方をしている
- 言われたこと以上のことはしない
- そんな姿勢が口調や表情に出ている
- 資料のデザインがちょこちょこずれていて、毎度、繰り返す
- やったことがすべて事後報告で事前相談がない
- 手前で相談してくれればもっとクオリティの高い資料になってお客様の満足度も高くなるのに、もったいないなと感じる
そう感じているとしたら、部下に対しての「粗さ」に対して反応していると分かります。
あなたがイライラしてしまうレベル感でも、実際にお客様や会社が求めているレベルに達していることもあります。
それで実際にまかり通っているかをまずは確認しましょう。
大きな問題ごとになっていなければ、まずは良いのです。
それ以上に、あなたがイライラしてしまう原因を見ていくことが先になります。
クリニック臨床で多いのは「自分のクオリティを担保できなくて悔しい、自分の監督不足」というテーマです。
部下に対するイライラではなく、実は自分に対するイライラであることが多いのです。
怒りの矛先を見定める
イライラは怒りの感情に分類されます。
怒りの捉え方が曖昧な社会なので、解説を挟みます。
怒りの本当の意味は、自分が大切にしている物事や価値観を守るためにあります。
ほとんどの人が、怒りを攻撃的・傷つけるものと認識しています。
クレーム事や、怒りが出るときの攻撃的な口調や態度と紐づいているので、それを怒りだと勘ちがいしていくのです。
結果的に、怒りを感じて表現することに慣れないまま大人になる方が大半です。
攻撃的にならないように、怒りを出さないようにする戦略をとっていきます。
怒りのリトマス試験紙
実は、部下との摩擦によって表出し、自覚しているイライラは本物の怒りではないのです。
感情の仕組みとして、本物の怒りであれば、消化してスッキリするからです。
部下へのイライラをどれだけ自覚しても減らずに持続しているのであれば、それは「偽物の怒り」ということになります。
「自分のクオリティを担保できなくて悔しい、自分の監督不足」という自分への怒りがあったとわかったとき、納得してスッキリしたとすれば、それが本当の怒りの感情になります。
カラダの外に怒りが出きったとき、部下の態度や言動を冷静にみることができるようになります。
お客さまの基準に最適化する
部下が表出させる粗さは、意図的に悪気があってしているわけではないのです(もちろん悪気があってやっているケースは、そのままにしてはいけません)。
自分の気づくレベルと、部下の気づくレベルのちがいを認識したうえで、仕事上どこまでのクオリティを担保すればいいかを共有すると良いです。
結果的に、会社やお客さまが求めることを満たせば良いのです。
部下の面倒はどこまで見るべきか?
HSPであるあなたが、部下との関係について悩んでいるとき、それは「距離感」がつかめていない状況にあるのかもしれません。
管理職や部下の面倒をみるとは、どこまでを指すのかがわからない。
部下の性格や、やり方が合わなかったり、苦手意識を抱いていたら、なおさらです。
管理職なのだから、自分がすべてを背負わないといけないと思っていないでしょうか。
部下との適切な距離
部下のこともすべて自分ごとに捉えて背負う。
それは部下との距離感をゼロとして捉えていることと同義です。
自分が距離を詰められて接せられると窮屈に感じることとおなじことを部下に対して引き起こしているのです。
お互いに心地よく仕事をするためには、自分と部下の役割分担を明確にする作業が大切です。
部下との認識のギャップ埋める
また、自分が認識する役割と、部下が認識する自分の役割にギャップがあるかもしれません。
あなたが考えていることが、すべてではないと思います。
部下の認識を確認することで「抜けている要素」を知ることにつながります。
自分の立ち位置を自覚する
また、会社全体(所属している部署)から見て、あなたがどの立ち位置にいるのかを知ることも大切です。
背負うタスクや責任は尋常でないはずです。
現代社会では、仕事がある程度できて評価されたり、勤続年数が長くなると、管理職になる可能性が高くなります。
本来は人を管理することが向いていないと感じていても、組織体制からやらざるを得ないこともあるでしょう。
成り行きで管理職になっている人ほど、全体からみた自分の立ち位置が不鮮明だったりします。
どの立ち位置で今の仕事をしているのかを知ると、自然と「自分がやるべき業務や労力のかけどころ」が明確になっていきます。
- 細かいことにも気づくから
- 部下の面倒を見ないといけないから
- 自分が中途半端なのは嫌だから
これらは本来、求められていないものです。
やるべき項目外であるということです。
まずは、自分の立ち位置を自覚し、いまの環境で必要なことだけに労力を割けるようにします。
部下の面倒や対応については、部下から相談があった時にする。
あなた自身に余裕があるときに気にかけていく。
そんな順番にしていくと、空気感が穏やかになり、チーム全体の士気が上がっていくのです。
cocoanやクリニックでのセッションでは、その流れを体現された方が卒業され、ご活躍されています。
価値観のちがいを知る
いくつかの事例からお伝えしてきましたが、共通している問題の根源は「価値観のちがい」です。
仕事関係だけでなく、あらゆる人間関係の悩みごとの根本でもあります。
自分の価値観を自分で自覚できなければ、相手の価値観とのちがいを認識することができません。
自分の価値観が明確になったとき、初めて目の前の相手の価値観が浮かび上がってきます。
「自分とはまったくちがう価値観を持った人なのね」と腑に落ちると、感情的にならずにすみます。
感受性のちがいによる齟齬や認識ちがいは、とても多いです。
自分の細やかな価値観を明確にして、相手との価値観のちがいを知る。
自分の領域が整えば、相手の領域との距離感を保ち、それぞれの立ち位置や役割をまっとうすることにつながります。
ここでお伝えしていることが、日常の業務やチームコミュニケーションの円滑さにつながりますように。